米連邦地方裁判所は2025年6月24日、トランプ政権による電気自動車(EV)充電インフラ整備のための資金拠出停止を一部差し止める判決を出しました。被告が控訴しない場合、差し止め命令は7月2日に発効します。
米国運輸省連邦高速道路局(FHWA)は2月6日、全国の州運輸局に対し、FHWAが管轄する「国家EVインフラプログラム(NEVIフォーミュラプログラム)」に関し、各州に割り当てられた助成金の承認を一時停止すると通達しました。これに対し、全米16州とコロンビア特別区の司法長官らは5月7日、資金凍結は違法で違憲だとして、運輸省とショーン・ダフィー長官を連邦地裁に提訴していました。今回の差し止め命令はこのうちの14州が対象となります。
ワシントン州西部地区地裁のタナ・リン判事は判決文で「連邦政府による資金配分の拒否は憲法上の権限を逸脱したものだ」と述べました。また「各州は連邦政府からのさらなる資金提供を期待して、充電インフラ整備に独自の資源を投入していたため、トランプ政権の政策転換によって損害を被った」と指摘しました。

米国議会調査局(CRS)によると、NEVIプログラム50億ドルのうち、2025年度までに計33億ドルが既に割り当てられています。しかし、政府からの支出が承認された「義務化」分は2025年2月時点で約5億3000万ドルとなっています。
NEVIフォーミュラプログラムでは、資金が割り当てられた後、各州がNEVI資金をどのように使用する予定かを記載した計画を運輸省長官が承認する必要があります。
今回の差し止め判決により、カリフォルニア、ニューヨーク、イリノイ、ワシントンなど14州でEV充電インフラ整備資金の配分が再開される見通しです。ただし、ミネソタ州、バーモント州、コロンビア特別区は証拠不十分のため、差し止め判決の適用外となっています。