2026年9月3日、米ウェイモの自動運転タクシーが車内で銃器を検知し、自ら警察に通報して乗客の10代2人が逮捕されました。ザ・ヴァージの記事によると、ウェイモは「銃器に関する利用規約違反」を検知したとして車両を停車させ、緊急通報を実施。警察は装填された状態のAR系「ゴーストガン」(製造番号のない自作銃)を車内から発見しました。
ウェイモ車両の映像をめぐっては、捜査当局が捜索令状で記録映像を入手した例がこれまでにも複数あります。昨年はロサンゼルス市警が、近くを走行していた車両が記録したひき逃げの映像を入手しました。ただし今回は、事件後に警察が映像を求めたのではなく、ウェイモ側が車内の状況を検知して警察の介入を起動した点が従来と異なります。

ウェイモ広報担当のジュリア・イリーナ氏は同メディアに対し、車内カメラを利用規約の順守確認に使い、禁止物品や禁止行為の検知に自動化技術を用いていると電子メールで説明しました。銃器を検知した場合は地域の法執行機関に連絡することがあるとしています。一方で同社は、何をもって銃器と判断するのか、どの程度の確信度で警告が出るのか、通報までに人間がどう関与するのか、銃器以外にどの違反が通報対象になるのかを明らかにしていません。
自動運転企業ズークスの元エンジニアで、安全性に取り組む非営利団体SAVE-USの技術顧問を務めるボブ・ソマーズ氏は、銃器に似た物体を検知した段階で遠隔オペレーターが状況を確認する仕組みとみています。カーネギーメロン大学のフィル・クープマン名誉教授は、画像認識で銃器を判別する訓練は可能としつつ、100%正確にはならないと指摘。誤検知は乗客の信頼を損なうだけでなく、警察との接触の場面で乗客自身を危険にさらす可能性があると述べました。
有人タクシーの運転手と異なり、映像を確認する遠隔の担当者は乗車時からの経緯を共有していません。ウェイモによれば車内マイクは原則として乗客サポートとの通話中などに限って作動するため、検知直前のやり取りを音声で確認できるとは限りません。同社は米国とフィリピンに常時約70人の遠隔支援担当者を配置していますが、規約違反の確認を誰が担当しているかは公表していません。

ウェイモの利用規約は武器や玩具銃の持ち込みを禁じ、サンフランシスコでは単独乗車を18歳以上に限っており、今回の2人は双方に違反したとされます。公開されているカメラポリシーも、車内ルールの順守確認や安全確保のための映像利用、法執行機関とのデータ共有に触れていますが、車内の自動監視が同社自身による通報につながり得るとは明記していません。電子フロンティア財団(EFF)で州政策を担当するヘイリー・ツカヤマ氏は、記載の範囲が広すぎると批判し、当局と情報を共有するなら乗車前に明示すべきで、現状は「消費者の想定の範囲外だ」と述べています。
安全のためにカメラを備えた移動手段なのか、常時監視される空間なのか。ロボタクシーの普及とともに、乗客の側も新たな心構えを求められそうです。
(EVcafe編集部)

