英国ダートフォードグループのケータハムは、バッテリEVコンセプト「EVセブン」に続く、新しいEVクーペコンセプト「プロジェクトV」を7月12日に発表すると予告しました。
ケータハムは、5月に将来の完全電気自動車セブンのための技術開発コンセプト「EVセブン」を発表し話題を呼びました。このコンセプトは、軽量な電気自動車の実現可能性を検証するもので、ケータハムは、ガソリン車と同様にドライバーに焦点を当てたバッテリー電気自動車を市場に投入することに一歩近づくことができたのです。
「EVセブン」は、公道用およびモータースポーツ用の先進的で頑強なパワートレイン開発のリーダーであるスウィンドン・パワートレイン社と共同で開発。大型のセブンシャシーをベースに、スウィンドン・パワートレイン社 による専用E Axleを採用し、液浸冷却式バッテリーパックを組み合わせています。
バッテリー液浸冷却は、ケータハムの長年の技術パートナーであるMOTULが供給する誘電性流体を使用し、バッテリーセルに直接接触させることで、最適な熱管理により充電速度の向上とバッテリー寿命の延長を実現します。この最新技術は、バッテリー電気自動車では最先端であり、これまでは膨大な熱量を発生するスーパーコンピューター等の冷却に使われることが一般的でした。
ケータハムのCEOであるボブ・レイシュリーは、「EVセブン」の発表の際に次のように述べています。
「私たちが将来生産するEVモデルは、ケータハムのDNAである、軽量で、fun-to-drive、ドライバーに焦点を当てたものでなければなりません。このプロジェクトの主な目的は、従来のセブンに比べて乗客一人分の重量差しかない車両を開発することです。1トンのセブンを発売することは決してありませんし、むしろそれは、やりたくありません」
「EVセブン」は、公道でもサーキットでも使えるものでなければなりませんでした。後者では、20-15-20サーキット走行のサイクルが繰り返し可能な事、つまり、20分間サーキットを走行、15分間で十分なエネルギーを充電し、さらに20分間走行できる能力を意味します。
「日曜の朝のドライブを楽しむことができる『EVセブン』の実現は、現在のバッテリー技術でも十分可能です。しかし、課題はエネルギー消費量が大幅に増加するサーキットでの使用です。現時点では、サーキット走行時に求められる急速な充放電に対応するためには、バッテリー液浸冷却が最適なソリューションの一つです」とボブ・レイシュリーは付け加えました。
「EVセブン」は、ベースとなる市販のセブン*からわずか70kgの重量増(総重量700kg弱)となっています。51kWhの液浸冷却式バッテリーは、エンジンルームとトランスミッショントンネルに収納され、最大152kWのDC急速充電が可能。実用可能な容量は約40kWhで、サーキットでの過酷な使用や急速充電にも劣化することなく、安全に使用することができます。このコンセプトには、HPDEシリーズをベースにしたスウィンドン・パワートレイン社E Axleの専用バージョンが採用されています。240bhp/9,000rpm、瞬間最大トルク250Nmを発生します。これにより、0-60マイル(約96.6km/h)のタイムは、およそ4.0秒が見込まれます。パワートレインは、Seven 485/480の性能特性に対応するように設計されており、「EVセブン」がICEモデルと同様のドライバビリティを共有できるようにしているのです。
また、「EVセブン」には、リミテッド・スリップ・デファレンシャル、セブン420カップのビルシュタイン製アジャスタブルダンパー、回生ブレーキ、4ピストンブレーキキャリパーも装備されます。
「現段階では、『EVセブン』をこのままの形で生産する計画はありません。このプロジェクトは、EVパワートレインがお客様の個々の使用ケースに対してどの程度有効なのかを確認するためのテストです。軽量でシンプル、そしてfun-to-driveという、セブンに必要なケータハム車特有の車両特性を実現する方法を学ぶために、このプロジェクトを進めているのです。私たちは、次世代のバッテリー技術が可能にする将来の適切なタイミングで、この車両を市場に投入するつもりです。だからこそ、今がこのコンセプトを試す時なのです」と、レイシュリーは付け加えます。
「EVセブン」コンセプトは、今年7月に英国で開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般公開されますが、同時に今回、予告されている「プロジェクトV」のショーカーも一般公開され、ケータハムのブースで披露される予定です。 「プロジェクトV」は、新しいチーフデザイナーであるアンソニー・ジャナレリがデザインする初のケータハム車。この完全電気自動車は、近未来を見据えた英国のスポーツカーブランドの全く新しいデザインランゲージを提示するものになるのです。
ケータハムの公式HP